Profile

大川“ZO”マコト

日本国内でカホンの聖地と言える北海道にて工房を構え、箱楽器Cajonの独自の研究と制作、ワークショップを展開。長年培った経験を元にプロから初心者までそのプレイヤー、一人一人に合ったカホンをオーダーで作り続ける。日本のカホン先駆者と言える存在。

http://www.zoscajon.com/

Profile

書道家  晃鳳(koho)

親子三代に渡り書の道に携わり、幼少期から筆を持ち、高校卒業と同時に本格的に書の道へ。番組タイトル・ロゴ制作など様々な分野の題字を手掛ける。 松坂選手をはじめ数多くの野球選手が手書きTシャツを愛用。 イベントやミュージシャンとのコラボでのパフォーマンス書道など、スポーツや音楽などジャンルの違いを飛び越えた新しい書のありかたを提案。 主な活動 ・大阪 FM802 忌野清志郎『続・ナニワサリバンショー』の題字 ・MTV『ロック検定』題字を揮毫 ・関西TV 関ジャニ主演ドラマ『蹴鞠師』題字揮毫。

http://fudemoji-koho.com/

 

 

2011年8月。極秘裏に進められていたHIROモデルカホンの完成が近いということで、その出来映えをいち早く確認するために北海道の工房に3人の職人が集結!
音を奏でる職人・音を作る職人・書の職人
そんな3人がそれぞれのこだわりをじっくりと込めて出来上がったカホンを前に熱く語ってもらった。

 

HIRO「皆さんよろしく御願いします!という事でまず、この三人の関係を知らない人がほとんどだと思うので、それぞれの馴れ初めと言いますか、どうやって知り合ったかを話していければと思います。まず、ZO’S CajonのZOさんと俺の馴れ初めをお話していきましょうか。」

ZO’S Cajonとの出会い

HIRO「初めは俺からメールを送ったんですよね?」

ZO「そうそう。カホンのサイト【カホンは寝て待て!】というマニアックなサイトを作っていて、メールもらったんですよね。」

HIRO「10年前ぐらいって、カホンのサイトってなかなか無かったですよね。」

ZO「そう。その頃なくて作ったんだよね。なんかね、結局自分が調べたものを知りたい人が多分いるだろうと思って、載っけたんです。」

HIRO「その頃【カホン】って調べてみたら全然情報がなくて、その中でZOさんの所だけ、作り方まで載っていて(笑)」

ZO「そうそうそう(笑)」

HIRO「こうやって作って、こうやって塗ると音が鳴りやすいとか。全部載っていてこれはおもしろいなと思って。その頃他のカホンを2台程持っていたんですけど、このカホンを是非叩いてみたいな!と思って、メールしたのがきっかけですね。確か『是非息子さんをください』という内容でしたよね(笑)」

ZO「そういうメールだったよね(笑)」

HIRO「それからカホンを送ってもらって、大学生の頃に旅行で北海道に行ったときに初めてお会いしましたよね。かれこれもう何年ぐらいですかね?」

ZO「8年、9年?」

HIRO「そうですね。もう長いですね。その間にカホンを何台も作ってもらいましたね。何度も壊したりして(笑)」

全員 (爆笑)

HIRO「しかもピアノジャック始めてからもっとプレイが激しくなりましたよね。」

ZO「最初の頃は1年スパンの修理だったね。そのうち、ライブのツアー毎になってしまって。今ではうちのメーカーの耐久性が分かる様になっちゃって、ここの人のこういう叩き方は何年持つというのが分かるようになってしまいましたね(笑)」

HIRO「もうZO’S Cajonじゃないとすぐ壊れてしまうと思います(笑)。鳴らし方も全然違いますしね。」

カホンと書の出会い

HIRO「じゃあ、今度は晃鳳さんとの馴れ初めをお話ししましょうか。」

晃鳳「そうですね。最初はFM大阪のDJ・RIOちゃんに紹介していただいて、Tシャツに書かせてもらって。」

HIRO「当時、3rdアルバム【風神雷神】を発売した頃で、雷神の雷Tシャツを作ってもらったんです。そのTシャツがめちゃくちゃカッコよくて!それがキッカケで、僕らのワンマンライブの時にセッションしたんですよね。」

晃鳳「音楽が鳴っているときに一緒に書かせてもらうというスタイルは過去に何度かやらせてもらったんですけど、今までは全部歌があって初めて歌詞のない場でやったので、全然また違う雰囲気で、逆に歌ありの時にどうやって書けばいいのかわからへんぐらい僕の中では楽しくてはまっちゃって。」

HIRO「俺らの”組曲『 』”という曲で書いてもらったんですけど、曲が終わってから後ろを見た瞬間に(出来上がった書を見て)鳥肌がバーっと立って。」

晃鳳「音を聴いての作業やったんで、家で書いているような気分にもなるし、みんなの呼吸が聞こえるぐらいシーンとしていたり、音が鳴っているのにシーンとしているような感じだったりとか不思議な体験でした。自分の目指す方向がミュージシャンの方と関わっていく時に、こういう形が一番ヒットするのかなというのがピアノジャックとやらせてもらって分かるようになりました。」

HIRO「その後、カホンを作るときに晃鳳さんの書がのるとめちゃくちゃカッコいいんじゃないかと思い、お願いしました。」

晃鳳「ありがとうございます。一発勝負だったんで、カホンが家に届いてから結構な時間見つめていましたけどね(笑)」

HIRO「もともと、木製のバットとかに書いていた事はあったんですよね?」

晃鳳「そうですね。今、楽天にいる松井稼頭央選手に『バットに書いて』と言われたときも同じ様にホテルの一室でずっと固まっていましたね。木には書くことが今までもあったんですけど、ツルツルの所に書くという事がなかなかないので楽しかったです。カホンでも、同じ木でも全然違って、木目で入っていくインクの感じが違ったりとか滲んだりとかもするので、最初に筆をつけた瞬間が本当に緊張して。これぐらいの木だったらこれぐらいの分厚さでつけても大丈夫かなというのは分かっているんですが、まさかカホンに書くとは思ってもなかったですね。」

HIRO「筆やインクはやっぱり何度も書いて行き着いた感じなんですかね?」

晃鳳「いや、まだ行き着いていないとは思うんですけど、現段階では今の状態がベストですね。多分、それは少しずつ変わっていってひょっとしたら10年後には全然違うインクを使っていたり、混ぜ方が変っていたり、筆が変わっていたりとかしているかもしれません。」

HIRO「書き方も普段の紙とかに書くのとは全然違いますよね。」

晃鳳「違いますね。書道用の筆ではなくて、絵筆を使うのでどれに書いても絵を描くようなイメージで筆を運んでいくので順応しやすいはしやすいし、難しいは難しいですね。」

HIRO「なるほど。絵を描くイメージなんですね。深いですね。」

日本人の気持ちを背負ったカホン

晃鳳「書かせてもらったのが、「眞」という字で。ミュージシャンの人って結構お酒ガーッと飲んで、ハチャメチャで。でもここという時に真面目やったりとかするのが、大半の人やと思うんです。でも、ライブのときと楽屋に戻ってきたときの差がHIROの場合はすごくて、本当に真面目に音楽に向き合っているんだなぁと思ったんです。特にリハーサルから本番と同じように気持ちを入れているんで、細かく細かくやっているんだなというのを初めて見たんで、その時に「眞」という字に決めました。」

HIRO「俺を文字一文字に表したらどんな感じになります?とお願いした時に貰った字が「眞」でしたね。」

晃鳳「結構文字考えるときって、あんまり考えすぎても出てこなくて、シンプルに真面目やなぁというところから入っていって、あとは演奏のイメージとかを付け足していくほうが結構簡単に浮かんでくるんで。本当にシンプルにシンプルに組み立てていって文字で表現していく感じです。」

HIRO「書いているところを見たことがなかったので分からなかったんですけど、実際に塗装前のカホン持って行ってお願いしたこともあるんです。本当にすごいですよね、緊張感が。俺らがライブしている時ってこういう風なのかなって。空気がピンと張りつめていて、全く喋れないんですよね。」

晃鳳「まあ、僕は2回目だったんで気分的には楽だったんですけど。でも普段工房で一人で黙々とやるのが、逆に沢山人がいるとか誰かが見ている前でやるっていうのが、また違った良い緊張感で。」

ZO「多分ね、僕はダメだと思う。作るときは一人じゃないとダメ。例えば、HIROのカホンの場合だと、HIROの音で作らなくちゃという気持ちが出てくるので、これがもし誰かが見ていたりすると気が散っちゃって。気持ちを入れないといけないという感覚があるから、人前でっていう感覚が分からないんだよね。」

晃鳳「僕も最初の話をいただいた時は、やっぱり人前というのと音楽とコラボしてというので、全然感覚が分けて考えられなくて。でも書き出したら書かされている感覚ですね。自分のリズムで書かないので。やっぱり音楽が耳に入ってきて、カホンの音が入ってきて、リズム刻んで、それによってスピードが決まってくるような。また別物になってきて。パッと見たときに家で書いた時と比べたら荒いんですけど、その場では多少荒くてもその時に音楽と一緒にコラボしている瞬間がそういう事なんだなと。」

ZO「その瞬間、瞬間がね、作品になっていくんだね。」

晃鳳「家で書いた文字とHIROが見ているときの文字は自分の中でも違う感じですね。」

HIRO「そして文字が入ると、また全然違うカホンになりますよね。」

晃鳳「結局日本人なんで漢字に関わりがあって、そこは切っても切り離せない。僕ら毎日書いていても、やっぱりその人の想いというものがそこに出てくる。そして、字を見てもらったときの表情を見るのが一番ドキドキするし、楽しいですね。」

ZO「今まではペルーで発祥された楽器と見ていたのが、HIROが使っているものだと日本よりの楽器に見えるんだよね。日本人の気持ちを背負ってるピアノジャック二人の『俺たち日本人がここまでやるぞ』という気持ち・形がそこにあるといつも思うんですよ。自分が作っている楽器に、晃鳳さんの文字が入っているだけでより日本に近くなる。日本人の気持ちとかそういうものを大事にしているのがすごい強く見えていて、自分が今まで持っているイメージと違う感じに見えるんだなと。ちょっと感動しました。」

HIROが使っている音でしか作らない

HIRO「俺、ZOさんのカホンを叩いていてすごいお気に入りの音があって。それは端っこのカン!という音。その音を結構使っている曲は「花火〜HANABI〜」なんです。元々和太鼓が好きなのであの様な高音のカンッというどこまででも響く音が、ZO’S Cajonにはありますよね。」

ZO「HIROが演奏する、その先のオーディエンスだったり、例えばCDを聴いてくださる方たちにも喜んでもらわなくては、という思いがありますね。メンバーのその先の方達にも喜んでもらわないと楽器としてのイメージ・意味がなくなってしまう。そこは自分で課している試練です。」

HIRO「まさに職人ですね(笑)。今まで俺の使っているモデルの注文は全部断ってきたんですよね?」

ZO「そうですね。そもそも楽器としては同じものは作れないのですが、レコーディングとか、年間100本以上のライブをするわけじゃないなら、別にそれでなくてもいいんじゃない?という話で別物を作ったりはするんです。逆に『HIROと同じものを側に置きたいです』という問い合わせがたまにくるんですよ。そういう問い合わせにはっきり断っていますね。うちは楽器を作っているわけで、家具や置物を作っているわけでもないからと。」

晃鳳「でもそうですよね。僕もこの文字ってHIROの文字であって、他の人に頼まれた時にこういう崩し方しなかったりとか、同じ「眞」でも違うふうに書いたりとか、同じようにしてって言われてもどこかで抵抗があるので・・・」

ZO「同じような感覚ですよね。でもHIROにはカホンをもっと広めたいという強い思いがあるじゃないですか。でも僕はその方にしか作らない、そして型番を打たないで一番気に入ったものしか作らない人間なんですよ。だから店頭にも売らない。WEB上にはメーカーのサイトだけあって、売ってるかどうかも分からないサイトなんです。それでも一歩進んで扉を叩いてくれた方、もしくは自分で探し当てた方にしか売らないのですが、でもカホンを広げたい・自分の音が好きだという人達がそこまで強く言ってくれるならと思って。でもまぁそれはHIROが使っている音でしか作らない、同じ音のクオリティで作らないといけない負担は、簡単に換算するとその台数分になってしまうから、気を引き締めていかなきゃならないなと思ってます。」

HIRO「過去の8年間くらいの試行錯誤がむちゃくちゃ詰まっていますからね。俺のプレイを受け入れてくれるキャパシティってやっぱりZO'S Cajonしかないですしね。」

ZO「一番最初に作った時は世界中からカホンを集めたんですよ。世界一のものを作ろうと思って。そして届いたカホンを、『コイツはどうなっているんだ?』って全部バラしたりして、色々な方に『この音どうですか?』って聞いて意見を取り入れたりして。でもそれは世界一のものではなかったんですよ。それに気付いてから頭を切り換えて、知り合いの大工さんや、木工を作っている方に話を聞いて。木の目だってそれぞれ違えば、その木が気に入っている人もいれば、嫌いな人もいるんだって言われた時に、その人が気に入ってくれたものが世界一なんだって気付いたんだよね。そこから型番を全て辞めて、この人はこういう音が欲しい、HIROだったらピアノ・DJに負けないくらいのって考えた時にそれに合った音を作ってあげることがベストなんじゃないかなって。でもね、修理をするスパンが短くなってるのは悔しいよね。丈夫に作っていくと、その丈夫さがHIROが喜んで更に強く叩いてしまうもんだから。そこまで叩くの!?って思う(笑)でもそれが自分的にも面白くて、試練にもなってるね。」

HIRO「お陰様で、叩き方がどんどん変わっていってますね。普通のカホン叩くと一日で壊しちゃったりして(笑) でもカホンに育ててもらってる感じですね。」

プレイと文字がはまる瞬間

HIRO「そしてこの文字。「眞」という文字は元々好きで、実は深い関わりもあって。親父と弟の名前に「真」という字が付いていて、俺だけ「真」の文字がなかったんです(笑)。この文字をもらえたというのがちょっと面白いなと思いつつ、真っ直ぐという言葉が好きだったんですよ。。」

晃鳳「よかったです。」

HIRO「場所も俺が叩かない配置におさまるようにしてもらいまして。」

晃鳳「場所は考えました。逆にど真ん中に書いて少しずつ消えていくのも見たかったんですけどね。」

HIRO「なるほど。でも消えてほしくないな。結構、ブラシとかで叩いているとすぐ本当に消えてしまうんですよ。」

晃鳳「でも擦れてきたりするのが、色合いが出てきてカッコよかったりするのかなと思いますよ。今度は一回ど真ん中に書きたいなとは思っています。」

HIRO「そういうのもありかもしれないですね。いやーーー、でも(笑)」

ZO「文字にしたらいいけど、打面にしたらね、ちょっとねドキドキするよね。」

HIRO「早いですもんね俺、打面の消耗。」

ZO「でも打面がダメになるちょっと前っていい音がするよね。なんかよく分からないけどすっごい良い音が出るの。ライブとか音源聞いてても、ああ、今ピークの音だよなーって思ってると、『壊れました。』ってHIROから電話がかかってくるんだよね。」

HIRO「やっぱり叩いて良い音してくるとどんどん気持ちよくなって、もっと欲しいもっと欲しいってなると壊れちゃうんです。」

ZO「面白いよね。『良い音出ました!』って言った後に、『壊れましたー・・・。』だもんね。」

HIRO「本当にすみません。そしてその度に書いてもらって本当にすみません。」

晃鳳「とんでもないです。」

HIRO「今ZO’S Cajonを4台持っているんですけど、そのうち2台に書を入れてもらっていて、この書がある事で験担ぎというか、ライブの一番気持ちいいときにふと文字が目に入ったりするんですよね。その文字を見て、冷静に組み立てられたりとか、もっともっと激しくなったりとか。「眞」という言葉はぴったりなんです。」

晃鳳「あの激しい中で見ているの?」

HIRO「そうなんです。ぴたっとプレイと文字がはまる瞬間があるんですよね。」

日本初の両打面カホン

HIRO「そうそう、話は変わるんですが今俺が使っているカホンは両打面なんです。最初『沢山音の種類があってメリハリのついたカホンが欲しいんです。』という内容のメールをZOさんに出したと思うんですけど、その時に『今作っているのでそういうのがあるよっ。』という事で、もらったカホンが両打面だったんですよね。」

ZO「そうそう。カホンっていうのは、通常前が打面で後ろが穴なんですよ。でもアメリカで作ってらっしゃる方が両面使っていて、でも弦は入っていなかったんですよ。とりあえずその方に、『真似にはなるけれども作ってみてもいいでしょうか?』とメールしたら、『それはそれで自分のオリジナルになるんだから構わないよ。』というメールを頂いたんです。弦が入っていて、裏にも打面がある、両方の音が違うというのがあって、自分で言うのも変なんですけど、初めて日本で両面のカホンができたんですね。今ではもう当たり前になってしまっていますけど。」

HIRO「メールをしたら面白いカホンがあるよと言われ叩かせてもらって。穴がある方と穴がない方でも全く音が違っていて、そこも叩き分けできるのがすごく楽しかったのを覚えています。打面の厚みとかも初期とは全然違いますよね?」

ZO「相当変わったね。もっと厚かったかな。ただ、板の性質があって、打面を変えていったりとか。実際に札幌に来てもらったり、ライブを見ているうちに、絶対この叩き方だったら、この音がいいなと思ってうまく厚さを変えていきましたね。それと同時に、後ろの打面に関しても厚さとか色々変ってきて共鳴りするので、どうしたら一緒に鳴らないかとか色々組み合わせを変えていって。で、今の形になりました。」

HIRO「実際厚みは何ミリぐらいなんですか?」

ZO「基本的には企業秘密になってしまうんだけど、その何層かという組み合わせがあって今の音になるんですね。」

HIRO「めちゃくちゃ薄いですよね。」

ZO「多分、通常の市販されているカホンだと大体4mm。」

HIRO「その薄さを全然感じませんね。」

ZO「それはそうであってほしい。」

HIRO「で、これは結構強く張っていますよね。やっぱり演奏する上で大分違うんですけれども。ダブルストロークといって「右右左左」と叩くのが俺すごく多いんですよ。その時に(手が)跳ね返ると、叩きやすくなるんです。ZO’S Cajonで叩くとはっきりと跳ね返りもすごいから演奏もしやすいし、ツブが立っているので、横の共鳴りがしないぶん、音がはっきりと出てくるんでそれも生かされるんですよね。」

ZO「プロの音響の方に言われるんですけど『色んなメーカーのカホンがあるんだけれども、ZO’S Cajonが一番音が出る』って言われたことがありますね。それはヤッター!と思いましたね。一番出るという事は、つまり高い音から低い音まで30cm×30cm×50cmの中でどれだけの音が出せるかというのが大事で。低音なら低音でちゃんとお腹にくるような音で、高音は耳が多少痛いっ!と感じるぐらいの音が出せるのが理想的かなと思います。」

HIRO「それは演奏していく中で、高い音を出さなくちゃいけない場面もありますし、でも低い音を出したいときは演奏者が低い音を出せますから。一つでバスドラの音が出ますし、スネアの音も出せるし、本当に音域が広い楽器なんですけど、ZO’S Cajonは特に音域が広いなと感じます。で、この両打面ですよね。叩く面でバリエーションも違ってくるし」

すごく個性の強くて面白いカホン

HIRO「ほんと、ZO’S Cajonが俺モデルを作るって事は特別ですよね。今までずっとお断りしていたのにね。やっぱりミュージシャンの憧れと、ワガママな部分もありますけどね。でもそうやっていくと、HIROの叩き方に似た人が出てくるかもしれないし、こうやって叩くとこんな音が出るんだという発見になればと思いますね。このカホンは相当クセが強くて、俺みたいにバーッと叩いたときに、やっと十分特性が生かされるものだと思います。HIROモデルがある事によって、こうやったらもっと音が出るんだっていってどんどんおもしろい叩き方がする人が増えると思うんですね。そういう風になればいいなと思って。」

ZO「ピアノジャックに憧れてとかそういう音楽をやってみたいなと思う方が、色んな他のカホンを使っていると思うんですけど、どっかで止まってしまったり首をかしげるタイミングが出てくると思うんですよね。『あれ!?HIROはあんな風に叩いていたのに、あれ!?』って。でも多分このカホンだとそれを十分補えるかなと。」

HIRO「そうやって鳴らせたときに多分気持ちよくなってくれるかな。もっとこうしてみようっていうのが広がるカホンだと思うんですよ。初めの人にはあまり優しくないカホンかもしれない。ちょっと叩いたらすぐ手が痛くなってしまうし。でもそうやってカホンの幅も広がればいいと思うし、プレイヤーもどんどんハマったらいいなと思います。」

ZO「作っている人間にしてみると、ピアノジャックのHIROが使っているカホンを同じクオリティで作るこの大変さというか、気持ちをそのままの状態で、持っていかなくてはならない。ずっとその気持ちが永遠といくと自分の身体持つのかなって思う感じがするけど、それも初めてのことだからおもしろいなと思います。」

HIRO「すごく個性の強くて面白いカホンなので、それによってまたカホンが活発になって、もっとカホンが広まれば本当に良いなと思います。」

 

 

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