【HIRO】
ちょっと金田さん!!この→Pia-no-jaC←を勝手にリミックス!ってなんなんですか!
【HAYATO】
いやいや!こんな事するの、いや、出来るの金田さんしかいないじゃないですか!
【金田】
まぁまぁ二人とも落ち着いて。ちゃんと説明するからさ。
【HIRO】
納得いかなかったら発売中止にしますからね!
【金田】
分かった分かった。そんなに熱くならないでよ。説明するからさ。
とりあえず、タイトルから説明すると、→Pia-no-jaC←をジャックしようと思ってね。いつも→Pia-no-jaC←は「ジャック、ジャック」言っているので、たまにはジャックされる側の気持ちもわかってみろ!と。
【金田】
一回ね、なんだろうね・・・「被害者の側に立つと人は優しくなれる。」みたいな!?そういうところからまず・・・
【金田】
やれクラシックだか「EAT A CLASSIC」だか何だか知らないけどね。ジャックされる側の身になってみろという発想で。
【HIRO】
いやいや!「EAT A CLASSIC」は金田さん企画ですよね?
【金田】
うん?いや、僕は全然知らないですけどね、あれは誰がやっているんでしょうねー?(笑)
クラシックを食べるなんてねえ。失礼な。
【金田】
いやいや、恐れ多すぎだろうと。(笑) 一回そういう気持ちを味わってみてもいいんじゃないの?というわけで「jaCked!」というタイトルにしてみたんですが。
【HAYATO】
まぁまぁタイトルの意味は分かりました。まだ納得いかないですけどね。
【HIRO】
それで面子はどうやって決めたんですか?
【金田】
面子に関しては今のCLUB MUSIC・打ち込み音楽っていうものの代表みたいな感じ。今時の用語でいうと、クラスター(階層)がいっぱいあって、ファン層というのもてんでバラバラなんだよね。リンクしているようで全くリンクしてない面子をちょっと集めてみようかなということで、かなり横断的に集めました。
サブカルあり、ハードコア、アンダーグラウンドあり、初音ミク・ニコニコ動画あり・・・みたいなところで集めてみて。
まぁでも、素材にいい意味での余白があるから、→Pia-no-jaC←って。
少人数だからゆえの余白、それが良さであるのだけれど。クリエイティビティの入る余地があったっていう。
ここ、まじめに話しているのでカットしてください。おもしろくないと思うので。(笑)
【HAYATO】
いやいや!カットって何ですか!ちゃんと説明しましょうよ!
【HAYATO】
おい!HIRO!完全に金田さんの話に聞き入ってるやん!
【HAYATO】
え?完全に金田さんの話に聞き入ってるやん!って言った。
【HIRO】
オイオイ!って言うのは俺の専売特許やからとらんといて!
【HAYATO】
すみません金田さん。曲の説明も聞かせて下さい。
1.組曲『 』 Remix by Sexy-synthesizer
【金田】
まず、1曲目のSexy-synthesizerさんはチップチューン。
彼はどっちかというと日本と言うよりも、海外で人気である人。フランスとかでもの凄い人気のある人です。
チップチューンというのでわかるように、要するにゲーム音で作る音楽で、このアルバムを作ろうと思ったときに一番最初に考えたのがこれで、とりあえず"組曲『 』"をファミコンにしたいという。まぁ本当は全曲ファミコンにしたかったんだよね。
【金田】
そう。全部ファミコン!全曲ファミコンにするというのを最初は普通に考えていたんだよね。
それでドット絵のゲーム画面みたいな動画でもあげたらおもしろいんじゃないの?みたいなと思って。でも、それじゃ売れないだろうなと思って。(笑)
とりあえず、一番代表曲を一番ありえないアレンジにしちゃうっていうのをしようと思って、"組曲『 』"はチップチューンにして、1曲目にしたらインパクトもあるかなー?と思って。まあ実際やってみると、あれほぼ完コピにかなり近いし、音は足しているけど、尺(曲の長さ)も同じだし。
【金田】
そう。構成も全部同じにしてくれと。リミックスというか、置き換えてみようという。
カホンも全部無くそうかと思ったんだけど、カホンを残した方が馬鹿っぽいからカホンを残したんです。(笑)
あと、1stアルバムの時のHIRO君のいまひとつ気合いの足りないかけ声がちょっといいというのが(笑)いまひとつまだ開き直っていないかけ声を、この後の曲を聞くと結構わかるという。
【金田】
そう!やらされている感満載なかけ声が、これはおもしろいってなって。
最初カホンのところは使おうという。カホンとファミコンのバトルというイメージで作って、最初声は使わなかったんだけど、この声が力が入っているんだか入ってないんだかわからなくて面白いってなってSexy-synthesizerさんも言ってて。俺も1stアルバムをずっと聞いている身だから、あからさまにそれもあって、それも含めてファミコンの情けない感じと、初期のHIRO君の情けない感じを。
こういう事言うとね~、怒られちゃうかもしれないんだけど。まあ、成長が見えたってことで!(笑)
【金田】
まあこれはリミックスというよりも置き換えですね。 リクリエイトに近い感じで変えたという。1曲目はこれでつかもうと。
【HIRO】
なんか納得できないですね。いまひとつとか、情けないとか。
2.ダイナマイト Remix by RE:NDZ
【金田】
まぁまぁ二人とも落ち着いて。
2曲目がRE:NDZ。
RE:NDZ a.k.a. livetuneとして活動していて、livetuneというのは初音ミクが出てきた黎明期の第1世代の人ですね、完全に。
彼はとても才能のある人でね。本当何やってもうまいし、ネット心もわかっていて。MOGRAって秋葉原のクラブがあるんですね。わりとネット寄りと言うかネットユーザーが集まるクラブ。多分、都内のクラブで平日に入場規制がかかる唯一のクラブなんじゃないかな。本当にクラブが壊滅している中で唯一気を吐いているところで。そこで反レジデンスでレギュラーでやっているんです。
まぁ、→Pia-no-jaC←と初音ミクってめちゃめちゃ遠いって思ったんだよね。全然クロスするところが今のところないクリエイターにやってもらうと面白いかなあというのがあって。個人的には一番好きですね。これはパンチがあるし、キラートラック以外の何者でもない。フロアでかけたらかなり爆発するんじゃないかなと思います。
3.熊蜂の飛行 Remix by DE DE MOUSE
【金田】
次が・・・3曲目。DE DE MOUSEは、一緒に卓合わせた(ライブをした)というのもあったんだけども、単純に合うよねっていう。
【HIRO】
DE DE MOUSEさん何も教えてくれなかった・・・。
【金田】
そりゃ内緒にしてたしね。
DE DE MOUSEさんは、90年代テクノの一番エッジな部分を取り入れつつ、でもそれだと「日本人わかんねえ~」ってなるんで、じゃあ何入れる?じゃ、ジブリ入れよう。ジブリの世界観を入れようとなって。そういうエッジーなテクノとジブリの世界観をくっつけた人。それも戦略であの人はやっている人なんですよね。
なんかその大元があるような無いようなところから、自分のエッセンスをぶち込んで、結果的にどこにもないダンスミュージックを彼は生み出しているし。そういうのも含めて→Pia-no-jaC←と親和性も高いかなと。俺はそんなに遠くないと思っていて。この人の在り方と→Pia-no-jaC←の在り方ってね、意外と。
【HAYATO】
確かに。なんか。狙っているというか。無いものを作ったというか。
【金田】
うん。無いものを作るっていう。無いものをわかりやすく提示するっていう方法を真剣に考えている人。そこには無いものをわかりやすく提示してゆくっていう。翻訳作業というのはほんとはスッゲー難しいんだけど、トライしている人は単純に好きで。
【HAYATO】
なるほど。何だか褒められているようで嬉しいですね。
4.台風 Remix by DJ JET BARON
【金田】
続いて、DJ JETBARON。
これもパンチがあって。ファンコット(Funkot)というインドネシアのダンスミュージックなんですよ。インドネシアのダンスミュージックなんだけど、要はいわゆるオシャレクラブ?若い人達がきゃっきゃっ言って踊るようなところと言うよりも、むしろ・・・なんて言ったらいいのかな?もっと下世話で下劣なんだよね。
で、ファンコットがかかるクラブというのは要するに都会の若者からはすごい馬鹿にされているんだよね。「ファンコットなんてあんなダサい田舎者のダンスミュージック」みたいな風に馬鹿にされているんだけど。でもインドネシアにしては初の土着のクラブミュージックなんだよね。色んな要素を海外から取り入れていたんだけど、結果的に生まれてきたのがこういうジャンルで、本当にインドネシアならではのダンスミュージック。
よくあるけど、日本でもオタクとか初音ミクが馬鹿にされるのはやっぱローカルすぎるけど、海外に行ったら「カッコイイ!」ってなるわけじゃん。それと全く同じ事で。
でもこの人達はプライド持っていて、「そういうことを言っている奴らというのはウエスタンポイズンに毒されているんだ」と言うんだよ。要するに「西洋から来たものばかり有り難がるんだ。本当に意味で自分たちの土着の文化を大事にしない、自分たちから生まれた文化を大事にしていない。だからあいつらはウエスタンポイズンに侵されているから、そういう奴らの言うことは俺たちには関係ない。」と。
日本だとライムスター宇多丸さんのラジオでDJ JETBARONさんが紹介したんだよ、このインドネシア発の音楽を。だからこの人が最初に日本でファンコットを紹介した人なんだよ。
そして→Pia-no-jaC←自体がエネルギー・熱量があるので、なんかオシャレカッコよさげなダンスミュージックよりも、こういう土着で野蛮なダンスミュージックをぶつけると結構面白いんじゃないかなと思って。
そしたらやっぱりすごくカッコイイ感じになって。
まじめに話してしまうと、→Pia-no-jaC←のどこにも居ない感じ。要するにいわゆる日本でインストバンドと言うと、まあジャズっているかジャムっているか。大体大きく分けてどっちかになるか。もしくはPOST ROCKという流れもあるけど。どこにも居ないじゃないですか?で、どこにも居なくて、→Pia-no-jaC←の中に凄い土着的なものを感じるんですよ。いい意味で「かっこよくない音楽」。いい意味でね!外からかっこよさげな音楽を取り入れて、昇華してゆくというのもありなんだけど、そうじゃなくて、どこにもない感じが良くて。で、こういう土着なパワーのあるダンスミュージックとぶつけてみようかなと思ってリミックスを。まあ、一番下品なリミックスだと思います。俺はこれは好きです。
【HAYATO】
いやいや、違うって言ってるやん!
5.夜桜 ~yozakura~ Remix by ケンモチヒデフミ
【金田】
次は・・・4曲目、ケンモチヒデフミ君か。
ケンモチ君は、Nujabesという日本でメロヒップホップ、インストゥルメンタルのメロヒップホップを広めた立役者のレーベルにいた子。メロの感じとかセンスがいいなぁと俺は思っていて。
2年前くらいにリミックスアルバムのことを思いついて、面子もここまでではないけれど、色んな人にリミックスしてもらおうというのは最初からあって。その時からケンモチ君みたいなハイドアウト系の人を入れる構想があったんですよね。
まあ、その構想の中にずっと最後まで残っていた人だという感じかな。
【HIRO】
え?そんなに前から考えていたんですか!?
6.花火 ~HANABI~ Remix by Maynard Plant(blanc./MONKEY MAJIK)
【金田】
Maynard Plant(blanc./MONKEY MAJIK)さんに関しては、普通に俺、1stアルバムが好きで。単純にカッコイイなあと思ったので「やってください。」みたいな。すげー淡泊だね。(笑)まあ、本当に実際そうで。
凄いイマジネーションがあって、なんか新しいクラブミュージックとポップスのいい共犯関係が作れているなあと思ってたら、意外なことに思いっきり大箱系のトラックをあげてきたので、これはこれで凄いかっこいいなぁと思いましたね。
【HAYATO】
聞いていないので、何とも言えませんが、カッコイイ気がしますね!!
7.blue moon Remix by Serph
【金田】
で、Serph。この人はもう多分一番今日本の電子音楽・クラブミュージックから出来てきた電子音楽の中で一番今売れているうちの一人じゃないかな。タワレコ渋谷のチャートだとミスチルとバンプの次に売れているアルバム。もちろん店舗限定チャートなんだけど、それでもその位売れていて。まあ、若い人にはものすごい人気ある。本人は全く表に出ない人なんだよね。インタビューも最近ほとんど受けない人。
【金田】
とにかくナウで。家でひたすら音だけ作っているっていう人。今一番日本で売れてて、しかもとんがっている感じ。
スクエニ企画なんだけどつながりができたので、頼んだら「あ、やります!」って即答だったんで、ちょっとお願いしたんだよね。
ここにSerphが今入るってのは結構意味があるかなと。正直重要なことでね。
ツイッターとか見てもSerphって書かれているしね。
【金田】
リミックスも最高でしたね。俺は凄い好きですね。あれは原曲を解体して。でもファンは一番キョトンてなっちゃうかもしれないかな。でもああいう音楽もあって、それは素材にちゃんと→Pia-no-jaC←がある、というのを感じてくれるといいなとは思います。要は料理人の手によっていくらでも音楽は変わるんだということ。一番実験的だよねとにかく。カッコイイけど。てな感じですね。
【HAYATO】
Serphさんが→Pia-no-jaC←をリミックスするってイメージできるような、出来ないような。
8.残月 Remix by DAISHI DANCE
【金田】
DAISHI DANCEはDDPJの延長線上にあるものとして、DDPJからつながっていますよという感じを出したかったので。最後に手の合う相手としてお願いしたかった感じですね。DAISHI DANCEさんは説明しなくても分かるよね?
【HAYATO】
そもそも選曲って、金田さんが全部やっているんですか?
【金田】
"組曲『 』"以外は、皆希望。皆に→Pia-no-jaC←の全作品を渡して、ここから選んでくださいって言って。
【金田】
やっぱり、こっちから「この曲やってください。」って言うと、こっちの作意が入っちゃうかなって。せっかくジャックされるんだから、アーティストに全部任せてしまおうという。選曲も。結果的にバランス悪くなる可能性もあるんだけど、それも含めてジャックだろうと思って、全部選んでもらったんだよね。うん。
【HAYATO】
DE DE MOUSEさん以外、全部オリジナルばかりですもんね。
【金田】
うん、オリジナルばっかり。クラシックもね、一応全部渡したんだよ。
【HIRO】
EAT A CLASSICシリーズ?
【金田】
EAT A CLASSICシリーズも全部渡したんだけど、皆オリジナルで。
DE DE MOUSEは決め撃ちだったみたいね。オファーした時から決め撃ちで。「もう、出来た。」って、頭の中でどうやろうかって言ってて。
皆自分の意思で選んでくれている感じですね。
まあ、それはリスキーではあったんだけど。バランスを欠いてしまうというね。結果としては全然よかったと思いますよ。
【HIRO】
なるほど。話聞いただけでカッコイイですね!
【HIRO】
アルバムの内容は分かったので、肝心の音を聞かせてもらえますか?
【HAYATO】
早く聞きたい!金田さん持ってないんですか?
【金田】
わかったわかった。本当は1月18日リリースだけど、特別に元旦にヴィレヴァン下北沢店で枚数限定先行販売するから買いにきてよ。それでいいでしょ?
【HAYATO】
いやいや!それって元旦から並んで買えってことですか?
【HIRO】
→Pia-no-jaC←リミックスなのに?
【金田】
そう(笑)だって→Pia-no-jaC←を勝手にジャックしたんだから、今渡したら変でしょ?
【金田】
ってことで、仕事中で忙しいからもういいかな?